脂漏性皮膚炎対策には弱酸性シャンプーが理想的?ウソとホント
お肌のpHは弱酸性といわれています。
pH(ペーハー)というのは理科で習った酸性・中性・アルカリ性の度合いを示す数値のことです。
よく言われるのが、お肌は弱酸性だから弱酸性のシャンプーで洗う方がやさしく洗えるというお話しです。
弱酸性シャンプーの方が頭皮にやさしいのであれば、低刺激シャンプーが好ましい脂漏性皮膚炎対策としても弱酸性シャンプーが良さそうですね。
というわけで、頭皮のpHやシャンプーの弱酸性などが脂漏性皮膚炎にどう影響するか考えてみましょう。
弱酸性は皮膚そのもののpHではない
お肌は弱酸性という表現は正しくもあり、間違いでもあります。
健康的な皮膚という表現もありますが、通常、皮膚には皮脂や汗、垢、皮膚常在菌が存在しています。
これらのバランスが取れた状態が健康的な皮膚の状態なのでしょうが、皮膚が弱酸性になる理由は皮膚常在菌の一つである表皮ブドウ球菌が皮脂を餌にして脂肪酸を生み出すからです。
脂肪酸は酸と付くだけありpHは酸性よりです。
そのため、適切な皮脂分泌・汗・垢、そしてバランスのとれた皮膚常在菌という条件の際にはお肌の表面が弱酸性に傾くということです。
皮膚そのもののpHでいうとおそらく中性なのではないかと思います。
皮膚そのもののpHに関する記述はかなり探しても出てきませんでした。
中性であるという記述も見つけましたが、根拠となるデータがなかったので、中性であるとは言い切れません。
つまり、お肌は弱酸性だから弱酸性ソープで洗うとやさしいというのは、お肌そのものに対してやさしいというわけではなさそうです。
皮膚pHと肌状態の関係性
お肌は弱酸性とはいうものの、健やかな肌と乾燥肌や脂性肌などではpHが異なってきます。
通常、皮脂が多い脂性肌だと酸性よりの弱酸性になり、乾燥肌では反対に中性よりの弱酸性になります。
そして、お肌のアルカリ傾向が強くなると悪さを働く皮膚常在菌の黄色ブドウ球菌やその他のお肌の悪玉菌と呼ばれる菌が増殖します。※マラセチア真菌がどのpH域を好むのかは調べたところちゃんとした資料は見当たりませんでした。
ちなみに黄色ブドウ球菌はアルカリを好むとよく書かれていますが、強アルカリだと死滅するというデータもあるようなので、アルカリを好むというより、中性域を好むのではないでしょうか?
まとめると、お肌というのは皮膚常在菌の中でも表皮ブドウ球菌が最も多く存在し、弱酸性に保たれている方がアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が起こりにくいので弱酸性環境を保つことは大事。
お肌は弱酸性環境が理想なのですが、pHでいうとpH4.5~6.5となります。
pH4.5に近づけば近づくほど皮脂分泌が多い脂性肌になり、6.5に近づくほど乾燥肌となります。
よって理想の弱酸性というとpH5.0~6.0となります。このくらいのpH域が最も表皮ブドウ球菌に好まれる環境となります。
シャンプーは弱酸性が良い?
では頭皮を弱酸性環境に保つには弱酸性シャンプーで洗った方が良さそうに思えますが、実際のところどうなのでしょうか?
弱酸性環境を維持するという側面で見るとその通りなのでしょう。
ですが、皮脂汚れというのは弱アルカリの方が落ちやすく、弱酸性だとしっかりと汚れを落とせないことも考えられます。
洗浄力も強すぎるといけませんが、弱すぎると洗浄の意味すらありません。
皮脂汚れが激しいとpHは4.5に近づいていきますので、弱アルカリで一時的に中和させるというのはお肌を清浄に保つにはおすすめです。
一時的に中性よりにpHがなったとしても、時間とともにpHは弱酸性に戻っていきますので心配はありません。
ということで、シャンプーは弱酸性でも弱アルカリでもどちらでも良いことになります。
脂漏性皮膚炎対策として考えた場合でも必要なケアは「やさしく潤いを守ってしっかり洗浄」なので弱酸性か弱アルカリというよりは、配合成分一つ一つが低刺激かどうか、洗浄成分の洗浄力が強すぎず弱すぎず適度かどうかの方が大切です。
髪もたんぱく質でできていてアルカリ性に弱いという話も有名ですが、シャンプーで髪のキューティクルが一時的に開いたとしてもトリートメントやリンス・コンディショナーで弱酸性に戻せば問題ありません。
シャンプーにあれもこれもと効果を求めるよりは、シャンプーは洗浄・トリートメントは髪の栄養補給というように分けてケアする方がおすすめです。